COTレポートとは
COTレポート(Commitments of Traders Report)とは、機関投資家のポジション量が記載されたレポートです。CFTC(米商品先物取引委員会)という、先物・オプション取引を規制する米政府機関が発行しています。
アメリカの先物取引業者はCFTCへの参加と、全ての資産および顧客取引口座資金などを報告義務があります。
ポジション状況は、日本時間の水曜07:00に報告され、土曜日の05:30に発表されます。
つまり、このレポートからプロの大口トレーダーのポジション状況を読み解くことができます。
https://www.cftc.gov/MarketReports/CommitmentsofTraders/index.htm
- CFTC(Commodity Futures Trading Commission:米商品先物取引委員会)…米国の商品先物取引委員会法に基づいて1974年に設立された。先物取引・オプション取引を監督・監視・規制する政府機関。アメリカの先物業者は委員会に参加の義務と、ポジション報告の義務が発生する。
COTレポートの見方
COTレポートは機関投資家のポジション状況を知るの重要なレポートですが、公式サイトの表だと非常に見にくいのが難点です。そこでtradingsterというサイトを利用します。
このサイトでは、時系列ごとにCOTレポートを整理してくれています。
投資家のカテゴリー
COTレポートでは、投資家のカテゴリーが大きく3種類に分けられています。
- Commercial(実需筋)
実需に基づいた取引を行う企業。主にヘッジ目的で取引を行う。例:生産者、輸出企業 - Non-Commercial(投機筋)
値動きを分析し利益を追求するプロ投機家。例:機関投資家 - Non-Reportable(その他)
報告義務が無い投資家。例:小口投機家、個人投機家など
Commercial(実需筋)
Commercialと呼ばれる実需筋は、生産主でヘッジ目的でトレードを行います。
ヘッジ目的でのトレードを簡単に説明します。
例えば、農産物の生産者を考えてみましょう。米や大豆などの農産物は、田植えを行ってから収穫まで時間がかかってしまいます。この時間に販売価格が下落してしまうと、生産者はもともと予定していた販売価格より安い価格で売らないといけないため利益が減ってしまいます。
そこで、田植えをした段階から先物市場で売りポジションを保有します。
収穫時期に価格が下落した場合:先物取引でのショートポジションが利益がでるので、作った農産物の価格が落ちても、合計の利益は減りません。
収穫時期に価格が上昇した場合:先物取引でのショートポジションで損失が出てしまいますが、作った農産物の販売価格が上がっているので、合計の利益は減りません。
また、実需筋は生産者なので、現物での決済が可能となります。
Non-Commercial(投機筋)
Non-Commercial(投機筋)は、値動きを分析し、トレードの売買で利益を上げる大口投資家です。
チャートの動きについていく大口投資家なので、彼らの超大量のポジションによって相場が変動することが多々あります。
そして、実需筋とは反対に、必ず持ったポジションの決済を行います。大量のロングポジションを持っている場合は、持っている分のポジション決済。つまりショートを行わなければいけません。
以上のことから、ポジションに極端な偏りが生まれると逆張り指標としても使えることができます。
COTレポートの分析方法
では、実際にCOTレポートはどのように読み解くのかをお伝えします。
下のグラフは、米ドルの価格とネットポジションを表した図です。
ネットポジションとは(買いポジション数ー売りポジション数)を表した数値で、マイナス圏にいれば売り越し、プラス圏にいれば買い越しを表しています。
青い線の投機筋が、買いポジションから売りポジション(プラス圏からマイナス圏)、売りポジションから買いポジション(マイナス圏からプラス圏)に変わったときに、価格も同様に動いていることがわかると思います。
反対に、黒い線の実需筋は基本的に相場と逆方向のポジションを持つことが多いです。
実需筋が売り越しをやめたタイミング、つまり0ラインに近づいた時は、相場が上昇しやすいです。
ただし、デイトレについての大口ポジションは記載されておらず、相場は大口がロングしたからといって必ず上がるものではありません。
また、冒頭でも説明したように、土曜日に火曜日のポジション発表となるので常に1週間のラグが発生していることにも注意が必要です。
あくまでもテクニカル分析のうちの1つとして捉えておくのがよいでしょう。
COTレポートをTradingviewに表示させる
TradingviewではCOTデータに対応しており、いくつかのインジケーターがあります。
Tradingview上のインジケーター検索でCOTと検索すると、ヒットします。
r_COT(Commitment of Traders)がシンプルでみやすいインジケーターとなります。
まとめ
- COTレポートとは、アメリカの大口のポジション量を表したもの。
- 実需筋は基本、売りポジションをもつことが多い。
- 投機筋のポジション増減を見ることによってトレンド予想の補助になる。
- あくまでも取引の参考の1つとして捉えること。