まずほぼあり得ない
最初に結論になりますが、アメリカ政府がデフォルトになることはほぼありえないでしょう。
なぜほぼありえないか、順に説明していきます。
債務上限とは
債務上限とは、アメリカの政府が発行できる借金(国債)の上限を設定する法律です。
アメリカ政府も会社や個人と同じ用に、支出(歳出)と収入(歳入)がありお金のやりくりをしています。
政府が政策を行うためは資金が必要となるので、その資金を調達するため政府は国債を発行します。
債券について
債券は株式と同じ、資金調達方法のうちの1つです。発行体が会社の場合は社債、国の場合は国債と呼ばれます。株式と違うところは、あくまでもお金は貸与で、最終的に国債を買った人にお金が返って来ます。これを償還といいます。
債券を購入した人は償還時、購入した分(元本)と、設定された金利分の利息を受取ることができます。
今までもこの上限に達する度に、何度もデフォルト危機とメディアで報道され、上限が引き上げられてきました。
上限がなぜあるの?
上限があるからデフォルトになるのに、なんでそもそも上限なんかがあるの?と思いますがこれは歴史的な背景があります。
この債務上限は、第一次世界大戦中の1917年に導入されました。戦費はそもそもがかなり高額な上に、第一次世界大戦はヨーロッパが主戦場だったため輸送など、より莫大な費用が必要になりました。
この莫大な戦費を柔軟に獲得するために、あえて上限が策定されました。
それまでは、個別のプロジェクトごとに議会を通し承認していましたが、それだと事あるごとに議会を開かなければいけないので、全体で上限を設けてしまい。制限の中だったら自由に使って良いよ。として、それ以来この上限に達するたびに何度も引き上げられてきました。
債務上限に到達するとどうなるの?
もし債務上限に達した場合、政府は新たに債券を発行して資金を調達することができなくなります。
この結果、政府の日々の運営に必要な資金を確保するのが難しくなり、政治家の報酬のカット、政府サービスの閉鎖などまずは国民に遠いところから経費削減がなされていき、最終的に国の運営が難しくなっていきます。
なぜ上限をすぐに引き上げないのか
上限に達してしまうと、大変なことが起きてしまうのに、なぜ上限をすぐに引き上げないのでしょうか。
上限の引き上げには議会の承認が必要です。アメリカには日本の衆議院と参議院のように、上院と下院があります。
案を通すには両院を通過しなければなりません。そして現在アメリカ議会は、下院は共和党、上院は民主党のねじれ議会が起きてしまっています。
民主党は基本的に革新派で、財政出動をできる限り行い、国民に対して積極的に働きかけ政府主導の政治を行いたい。ので、無条件に上限の引き上げを求めています。
共和党は保守派で、できる限り政府の働きかけは最小限にし、出費はできるかぎり抑え、国民主導の政治を行いたい。ので、引き上げの条件として、出費の節約を求めています。
このように、両院で意見が食い違いどちらも引き下がらず、上限引き上げがすぐに決まらない理由です。
アメリカはデフォルトするのか
冒頭にも書いたように、アメリカのデフォルトはほぼありえないと考えます。
もちろん相場には何が起こるかわからないので、絶対にとは言えません。
ただもしも本当に、世界一の経済大国であるアメリカがデフォルトしてしまったら、世界経済が崩壊し、アメリカ国民も非常に苦しむ展開となります。
経済崩壊の責任を問われるのは当の政府なので、彼らのキャリアのためにもデフォルトは阻止するはずです。
過去にも、デフォルトを回避するために、政府の支出削減などがトランプ政権、オバマ政権時にも行われています。
市場への影響
デフォルトはほぼありえませんが、「デフォルトしそうになっている」ことは事実なので、国債の信用度が下がる可能性があります。
過去に、アメリカ国債の格付けランクがさがりS&P500が暴落したこともあります。
もしも、万が一デフォルトを起こした場合、総崩れが起き、一気にリスクオフ相場に傾き、金などに資金が集まるでしょう。
まとめ
・アメリカ政府のデフォルトの可能性は限りなく低い
・アメリカ国債のランクが下がる場合がある
・万が一デフォルトした場合は、リスクオフ相場となり、金などに資金が集まる
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